前回は過労死や働き過ぎを無くすために
会社や企業が最初に出来る事として、意識を変える事を書きましたが、
今回はユーザー、お客様というか社会の意識について書きたいと思います。

 ブラック企業や社会における働き過ぎ、サービス残業などは会社や企業側だけの問題ではなく、
日本の働き方の文化と意識の中に根強くあるものです。
なので、それを無くすには企業の意識を変えるだけでなく社会の意識も変わらないといけません。
その中で一番必要なのは受益者がある種の不自由を受け入れる余裕を持つことです。
今の世の中は本当に便利です。その象徴と言えるのがコンビニエンスストアとネット社会です。
コンビニは一日24時間365日ずっと開いていて、商品とサービスを提供する。
コンビニが世の中に定着するにつれ、
普通のお店でも営業時間が伸びお盆や正月でも休むところが減りました。
更にはネットの普及が進み、より休みのないセールスとサービスを供給するようになりました。
そしてそれぞれが市場を競い合うようになり、
それまで当たり前に休めていた会社やお店がいつの間にか休めなくなっていました。
受益者もいつの間にかそれに慣れてしまい、
気がつけば24時間動き続ける世の中を当たり前に受け入れ、
望んだ時に望んだサービスを受けられない事を不自由に感じるようになってしまいました。
それらが可能になったのは、技術や経験、道具、機械、コンピューター、
そしてシステムなどの進歩によるものですが、
日本は、そうした進歩によって得た時間や労力を前述した日本の働き方の文化と意識のために、
余裕ある時間として享受するのではなくより働く方へとシフトさせてしまったのです。
よく言えば勤勉でまじめだからですが、よりよい働きや効率のために必要な休憩や休みすら、
ただの怠けと考え、またお客様のためと思い、全てを更なる仕事時間としてしまいました。
それに慣れてしまった受益者とそれで競争する社会。
こうした事が世の中としてのブラック問題だと私は考えます。
 お店の営業時間が短いと怒る人、休みの前日に仕事を依頼し、
それを休み明けに仕上げてほしいと言う人、
営業時間終了間際に修理を持ち込み、今日中、もしくは明日一番までに直しておいてほしいと言う人。
皆、その後を想像しませんし、そうした仕事をするのがお客様のためには当たり前だと思っています。
でも、お客の側も、自身の仕事では提供者側になるわけですから、
自分がそうされたらどうでしょう? どんな仕事の仕方になるか・・・
相手の事、それを少し考えれば、分かるはずです。
それなら断ればいいと言う人もいらっしゃるかと思いますが、
前述したように、それも日本人の気質と文化の中で無碍には断れない想いと、
前述したそこでの競争原理がすでにはたらいている世の中ですから、
やはり企業やお店の方からは断れないのが現実でしょう。

だからこそ、自身が受益者(お客)の側に立っている時、
少しだけでも想像力を働かせてほしいのです。
凄く些細な事ですが、自身に急ぐ理由がないならレジでむやみに急がせない。
電車が遅れた時、連絡する事で問題がないなら駅員に詰め寄らない。
ものを頼む時に時間があるなら、それを相手に伝える。
逆に何かの無理を頼むなら、その分の時間やお金がかかる事を知っておく。
そうした事は自分もしてほしい、考えてほしい事のはずではないですか?
今日食べるものに一週間の消費期限はいらないように、
自分が何を望んで求めているかを冷静に知り、それを相手に求める。
お店の方や、取引先の相手はあなたの従業員や召使いではありません。
お金を介した取引をフィフティーフィフティーで行っている相手なんです。
相手に敬意を払うこと。それは自分が敬意を払ってもらえることでもあります。
そして互いと互いの事情を尊重できれば、自ずとそれぞれに気持ちの余裕が生まれ
良い商売や良い取引ができるのではないでしょうか。
そしてそれが良い社会へと繋がり、また企業や会社、その従業員、
そして受益者となる自分自身へとかえってくると私は考えています。

そう、本当にブラックを無くすには、提供者からではなく受益者の心構えからなのです。

その為の企業や会社、働く側の対応をご自身の立場でもっと具体的にと思われたら、
いつでもご相談ください。
ゆっくりお話ししましょう。