8月も終わり、湿気で暑くて大変だったものの連日の雨で日照時間は記録的に少なく、
夏のレジャーは軒並み大変な状態ですね。そんな天候に悩まされたビジネスを見ていると、
いろいろと考えてしまいます。
 ただ、驚いた事にビアガーデンが盛況で前年の1.5倍くらいの売り上げを出していたり、
夏のイベントをうまく屋内に取り込んで屋内施設がはやっているといったニュースや
夜の遊園地の活用の仕方などが紹介されていました。
どこもアイデアを出し、工夫することで落ち込みを少しでも抑え、天候に恵まれた時には、
両方で対応することでより売り上げを伸ばすことが出来るようになっていました。
苦境が工夫を生み出した好例ですね。
私も改めて考える事の大切さ、重要性を感じると共に何か道はあるもので、
まだまだ考えられる、考えないといけないと思いました。

 さて、そんな中、目に入ってきたのが大塚家具のニュースでした。
報道によると予想外にひどい落ち込みで、
数年前、経営方針の違いで揉め分裂した時から年々落ち込み続け
新社長の方針がことごとく裏目に出てきてしまったようでした。
先代社長と経営方針の違いや諸々で対立し、分裂した時、
私はどちらかと言えば新しい社長の考えというか方針が悪いものには思えませんでした。
実際、大塚家具のそれまでの手法では確かに無理があり、
時代に合わず売り上げは下降の一途をたどっていたようですから、
なので何か違う手を打たなければいけなかったのは確実だったのは事実です。
そういう意味では会社としての体制の変換自体は必要だったと思います。
ただ、気になったのは前社長を含め、
古くからの社員、古くからの体制になれた社員がまだまだ多くいたこと。
そしてそうした方々のやり方も決して完全な間違いではなかった事です。

 現在、中小でも多くの会社でまさに世代交代の時にそうした問題が浮かび上がります。
特に古くからの社員、顧客を抱えている場合です。
その時にとても大切なのは、古くからのそれまでのやり方、人こそが
今を作ったという事実を踏まえてリスペクトを持って話しをすることなんです。
私の経験ではそうした中小、しかも継続している事業では会社だけでなく、
お客様もまた一気に変わる事はありません。
必要なのは徐々により良い体制に移行することであり、
また、事によると両方をうまくまとめる事でより良い体制を作る道も見えてくる事があります。
大塚家具にしても私が、その時にベストだと思ったのは、
現在の形で、でも同じ会社であること。
つまり、大塚家具ほどの会社であれば、
先代の培って来た高級で接客重視の大塚ブランドの店舗と新社長のカジュアルな接客と商品、
さらにはリユースまでを扱うお店が共存していても良かったと思います。
その上で、今の時代の高級家具、高級接客というものをしっかりと考え直し、
新社長もカジュアル家具も新ブランドとしてグループで立ち上げ、
研究を重ねればよかったのではと思います。
せっかくそこにある経験とアイデア、それを争い合わせられなかったのが
一番の失敗だったと考えます。
「一方が絶対に正しい」それはとても危険な考え方です。
ましてや成功してきた中には反面教師となる事も含め学ぶべき点、
発見のきっかけになるものがあります。
古いやり方が良いともいいません。ただ古いものを新たな視点で改良し、新しいものにする。
その融合は大きな力になることが多いと私は思っています。

 皆さんも、大きく変化を起こすときには、ただ否定するのではなく、
しっかりとそれまでと向き合い、反省するべきを反省し、改良すべきを改良し、
新たに加えるものを加えてより良い改革となるよう考えてみてください。
未来に対するヒントは過去にあります。
ただし、あくまでヒントであって答えでは無いことも覚えておいてください。

もちろん、そのヒントが冷静に見つけられないなら、
いつでもご相談ください。